親知らずは、お口のトラブルを招きやすいため、いつかは抜かなければならないと考えている方が多いです。
患者様からは「親知らずは4本全部抜いた方がいいの?」という質問を受けることもあり、抜いた方がいい親知らずと、抜かなくても問題がない親知らずがあることを把握しておきましょう。
そこで今回は、親知らずの抜歯の判断基準について、新宿区のしんみ歯科高田馬場がわかりやすく解説をします。親知らずの対処に困っている方は、このコラムを参考にしてみてください。
目次
▼親知らずは4本全部抜いた方がいいの?
まずは、この質問にお答えします。結論から言うと、親知らずが生えてくる本数、歯茎の中に埋まっている本数、抜いた方がいい本数には個人差があり、抜歯の必要性について一概に語るのは難しいです。
実際、親知らずを4本全部抜くケースだけでなく、1~2本だけ抜くケース、1本も抜く必要がないケースもあるのです。
ご自身の親知らずがそのうちのどれに当たるかは、次の章で解説する親知らずの抜歯の判断基準によって、ある程度わかるかと思います。
▼抜いた方がいい親知らずの症状について
次に挙げる症状や特徴が見られる親知らずは、抜くことが検討されます。
【症状1】親知らずが中等度から重度のむし歯になっている
生え方が悪くて歯みがきしにくい親知らずは、通常のむし歯治療を行っても再発しやすいため、抜くことが優先されやすいです。
【症状2】智歯周囲炎を発症している
智歯周囲炎(ちししゅういえん)とは、智歯(親知らず)特有の歯周炎で、重症化しやすく、周りの歯や組織にまで悪影響を及ぼすことが多いため、抜歯が第一選択となりやすいです。
【症状3】親知らずが手前の歯を圧迫している
親知らずが斜めや真横を向いていて、手前の歯を圧迫している場合は、適切な時期に抜くのが望ましいです。そのままの状態で放置していると、手前の歯の歯根を溶かす恐れがあるからです。
【症状4】親知らずが歯並びを乱している
生え方の悪い親知らずが原因で、全体の歯並び・噛み合わせを乱している場合は、早期に抜くべきといえるでしょう。
歯並び・噛み合わせの異常は、口腔全体の健康維持にも深刻な悪影響を及ぼしかねないため、その原因となっている親知らずは取り除くのがおすすめす。ちなみに、歯列矯正で親知らずがその妨げとなるケースでは、高い確率で抜歯をします。
【症状5】親知らずの周りに嚢胞ができている
歯ぐきの中に埋まっている親知らずには、含歯性嚢胞(がんしせいのうほう)という袋状の病変が生じることがあります。
この嚢胞は、時間の経過とともに大きくなり、顎の骨を溶かすリスクを伴うため、親知らずとまとめて外科的に摘出する必要があります。ただし、含歯性嚢胞は自覚症状に乏しい病気なので、日常生活を送っていく中で気付くことはほとんどありません。
多くのケースでは歯科医院でパノラマレントゲン撮影を行った際に、偶然発見されます。そういう意味合いで親知らずが歯ぐきの中に完全に埋まっている人は、1年に1回程度の間隔でパノラマレントゲン撮影を受けるのが望ましいでしょう。
▼抜かなくてもいい親知らずの特徴について
次に挙げる特徴を持った親知らずは、少なくとも今すぐに抜く必要はないといえます。
【特徴1】正常に生えていて問題を起こしていない
真っすぐ正常に生えていて、お口のトラブルを引き起こしていない、あるいは他の永久歯と同様、噛み合わせに参加している親知らずは、ただちに抜く必要性はないです。
親知らずも第三大臼歯(だいさんだいきゅうし)という立派な永久歯のひとつでもあるため、正常に機能しているのなら、抜かずに残しておくことでメリットになる場合もあります。
【特徴2】歯を失った時の移植歯や支台歯として使える
生え方に多少の問題があったとしても、将来、歯を失った時の移植歯やブリッジの支台歯として活用できるのであれば、残しておくのが望ましいです。
【特徴3】完全に埋まっている親知らず
歯ぐきの中に完全に埋まっている親知らずは、歯周病やむし歯になるリスクが低く、全体の歯並び・噛み合わせにも悪影響を及ぼしにくいです。
そのため完全埋伏の親知らずを急いで抜くことはほとんどありません。ただし、完全埋伏の親知らずに嚢胞や腫瘍ができたり、手前の歯に悪影響を及ぼし始めたりした場合は、抜歯を検討することになります。
◎親知らずを抜くとどうなる?
親知らずを抜くと、将来的に移植歯や支台歯として活用できなくなるというデメリットが生じますが、今現在悩まされている痛みや腫れが改善したり、今後のトラブルを予防したりするメリットも得られるため、その両方を勘案して抜歯するかどうかを決めるのが望ましいです。
▼まとめ
今回は、抜くべき親知らずと抜かなくてもいい親知らずの特徴や症状について、新宿区のしんみ歯科高田馬場が解説しました。
親知らずを抜くべきかどうかは、親知らずの生え方や周りの組織への影響によって変わってきます。ご自身の親知らずが今どのような状態になるのか知りたい方は、いつでもお気軽に当院までご相談ください。口腔内診査やレントゲン撮影などを行うことで、親知らずを抜くべきか否かがわかります。