歯科は、患者様が選択できる治療の範囲が比較的広い診療科です。むし歯を削ったあとに装着する詰め物・被せ物ひとつとっても、さまざまな材料の選択肢から選ぶことができます。
その中でも迷われる方が多いのが「セラミック」と「銀歯」です。この2つは見た目以外にも強度や寿命など、さまざまな点で違いが見られます。
今回はそんなセラミックと銀歯の違いを細かく比較して、患者様の選択の際の参考にしていていただきたいと思います。
■セラミックと銀歯の違い
セラミックと銀歯を比較すると、次のような違いが見られます。
◎見た目
見た目という観点では、セラミックが天然歯のような自然な印象を与えてくれます。セラミックは天然歯の色調や光沢、透明感を同じように再現できる素材です。同じ白色材料のレジンと比較しても、見た目の良さ、自然さはより自身の歯に近づけることができます。
一方、銀歯は文字通り銀色をしており、笑った時に気づかれることも。光を反射してギラギラと光る点も懸念に感じる方は少なくありません。
そのため歯の詰め物・被せ物の素材として審美面を重視する患者様には、銀歯ではなくセラミックをご提案することもあります。
◎強度の高さ
強度の高さを追求したい患者様には、銀歯が有力な選択肢となることも考えられます。なぜなら銀歯が欠けたり、割れたりすることはあまりないからです。
いわゆるオールセラミックは、歯科材料の中で美しい仕上がりが期待できる反面、“割れやすい”という欠点を伴うことから、歯ぎしり・食いしばりがある方や奥歯で噛む力が極端に強い方には、不安が残ります。
ただ、強度の高さという観点においても、ジルコニアを選択すれば、審美性の高さを両立させることも十分に期待できます。
ジルコニアはセラミックの一種で、金属に匹敵する硬さを備えており、“人工ダイヤモンド”とも呼ばれています。
◎寿命の長さ
寿命の面では、セラミックのほうが長く使えるケースもあります。保険診療で用いる銀歯の寿命は5~7年程度といわれていますが、セラミックは10~15年、丁寧にケアすれば20年以上持たせることができる場合も。
これは素材の性質や装置の製作方法、歯に接着する方法などが影響しています。セラミックは単に見た目が良い素材と思われがちですが、詰め物・被せ物の寿命が長いという利点も備えているのです。
もちろん、銀歯もセルフケアを徹底し、定期的なメンテナンスを欠かさず受けていれば、10年以上使い続けることも可能ですが、歯科用合金やセメントなどの劣化は起こるものなのです。
◎生体への馴染みやすさ(安全性)
詰め物・被せ物は、歯や口腔粘膜に密着するものなので安全性が重要となります。そこに生体親和性が低い素材を使うと、さまざまなトラブルを引き起こしかねないため十分な注意が必要です。
例えば銀歯は金属イオンが溶け出して、口腔粘膜や全身の皮膚に金属アレルギーを発症させることがあります。その一部が歯ぐきに沈着すると、「メタルタトゥー」という黒ずみを生じさせます。
一方、セラミックは生体に馴染みやすく、構成成分が溶け出してアレルギーを引き起こすリスクはほとんどないことから、治療後も安心して使い続けられます。
こうした観点でセラミックは「メタルフリー治療」を実現するための素材としても重宝されています。
◎むし歯の再発リスク
むし歯を再発しやすいかどうかは、素材の安定性と歯質との適合性に関係します。つまり、素材が経年的に劣化しやすかったり、装着時の適合性が低かったりすると、歯質との間に不要な隙間が生じて、細菌の侵入が起こりやすくなるのです。
その結果、せっかく詰め物・被せ物をしたのにむし歯が再発するケースも。上述した通り、銀歯とそれを装着する際に使用するセメントは劣化しやすいため、時間が経つと隙間ができ、そこからむし歯になることがあります。
しかし、セラミックは10年経っても状態を保ちやすく、長期間使える素材です。また、装着した時点でも、銀歯よりセラミックの方が隙間なくぴったり合いやすいというメリットがあります。
◎治療にかかる費用
詰め物・被せ物の治療にかかる費用は、健康保険が適用される銀歯の方が安いです。オールセラミックやジルコニアを使った治療は、原則として自費診療となることから、銀歯よりも高い費用がかかります。
■まとめ
今回は、セラミックと銀歯の違いをいろいろな観点から比較しました。見た目の良さ、寿命の長さ、生体への馴染みやすさ、歯質との適合性という観点では、セラミックに魅力を感じる方が多いかもしれません。強度に関してもジルコニアという素材を選べば、十分な強さが期待できます。
一方で、費用面では銀歯の方が負担が少ないため、経済的な理由で選ばれるケースもあります。
そんなセラミックと銀歯で迷われている方は、いつでもお気軽に新宿区のしんみ歯科高田馬場までご相談ください。当院では患者様のお口の中を拝見し、ご要望をお聞きしたうえで適切な治療法をご提案しております。