美しい口元と機能性を兼ね備えた「セラミック治療」は、近年多くの患者様が注目を集めています。しかしその費用は決して安くはないため「医療費控除が使えるかどうかになる方も多いのではないでしょうか。
実は、セラミック治療でも医療費控除が受けられるケースがあります。ただしすべての治療が対象になるわけではなく、審美目的との線引きが重要です。
今回はセラミック治療における医療費控除の可否や基礎知識について、わかりやすく解説します。
目次
■セラミック治療の費用に医療費控除は使えます
セラミック治療は基本的に自費診療に該当しますが、「治療の目的」によっては医療費控除の対象になります。
たとえば、むし歯や破折した「歯の機能回復」を目的として行われたセラミッククラウンの装着などは、医療費控除の対象になり得ます。
医療費控除とは、1年間に支払った医療費のうち一定額を超えた分について、所得から差し引いて税金を軽減できる制度です。セラミック治療であっても、「治療」として必要と判断されたものであれば、その費用が控除対象となる可能性があります。
◎控除対象になりやすいケースの具体例
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むし歯治療後に機能回復目的で装着したセラミッククラウン
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金属アレルギーのため、金属を使用しない素材としてセラミックを選択したケース
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噛み合わせの異常を改善し、しっかり噛めるようにするためのセラミックのブリッジ治療
これらは審美性だけを追求した治療ではなく、「医療上の必要性」があると判断されるため、医療費控除の対象になりやすいと考えられます。
◎セラミック治療で医療費控除が対象にならないケース
審美目的が主な理由でセラミック治療を受けた場合、その費用は医療費控除の対象とはならない場合があります。医療費控除が認められるには「治療としての必要性」が前提であり、見た目の美しさだけを目的とした施術は税務上は医療行為とみなされないことがあります。
◎控除対象外となるケースの具体例
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銀歯を白くしたいという理由のみでセラミックインレーに交換
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歯並びを整える目的だけで、健康な歯にセラミックを被せる
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ホワイトニングや歯の色調改善を目的としたセラミック治療 など
自身の治療が医療費控除の適用となるかは、歯科医師に確認してみるのが安心です。
■医療費控除の基礎知識
ここでは、医療費控除を正しく活用するために知っておきたい基礎知識を、項目ごとに分かりやすく解説します。
◎医療費控除とは?
医療費控除とは、1月1日から12月31日までの間に支払った医療費の合計額が年間10万円または総所得金額の5%を超えた場合に、その超えた分について所得から差し引くことができる制度です。
対象になるのは、本人だけでなく、生計を共にする配偶者やお子様、親などの医療費も含まれます。
◎控除対象となる医療費の例
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歯科治療費(保険診療、自費診療を問わず、治療目的のもの)
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通院のための交通費(原則は公共交通機関の利用に限る)
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医師の指示による治療用の医薬品
◎控除対象にならない費用
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美容・審美目的の処置
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自家用車での通院時のガソリン代・駐車場代
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健康診断や人間ドック(疾病の治療を行うものではないため対象外)
◎医療費控除を受けるための手続き
医療費控除を申請するには、確定申告が必要です。提出時には以下の書類を準備しましょう。
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医療費通知(保険組合から送られる「医療費のお知らせ」)
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領収書(クリニック発行のもの。※2023年以降は原則として提出不要ですが、保存義務あり)
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医療費控除の明細書(国税庁ホームページに様式あり)
税務署によって対応が異なる場合もありますので、迷ったときは税理士や所轄の税務署にご相談いただくと安心です。
■まとめ
今回は、セラミック治療の費用に医療費控除は使える?という疑問にお答えしました。
セラミック治療の費用であっても、「医療上の必要性がある」と認められた場合には医療費控除の対象になることがあります。ただし、審美目的で行った治療は対象外となるため、治療の目的が重要なポイントです。
確定申告の際には、医療費控除の基準や必要書類をしっかり確認し、賢く制度を活用しましょう。わからない点があれば、当院でも丁寧にご案内いたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。