何度も通院して根管治療をやり遂げたのに、むし歯が再発してしまった。
こうしたケースは保険診療の根管治療でよく見られます。
そもそも根管治療は難しい治療。
保険では使用できる機材や薬剤に大きな制限があるため、再発するリスクが高くなっているのです。
その点、マイクロスコープと歯科用CTを活用できる精密根管治療では、成功率も高くなっています。
そこで今回は、根管治療の成功率を高めたい方に向けて、マイクロスコープ+CTの力をわかりやすく解説します。
目次
■根管治療が再発しやすいのはなぜ?
むし歯は、
C1(歯の表面のエナメル質だけが感染)
C2(エナメル質よりさらに内部の象牙質まで感染)
C3(歯の神経まで感染)
という流れで進行していきます。C2までなら口腔内に見えている範囲だけ削れば完治を目指せますが、C3まで進むと「根管」という目に見えない歯の内部の部分まで削ったり、汚れを掻き出したりしなければなりません。
ここに通常のむし歯治療と根管治療の違いがあるのです。
◎保険診療は歯科医師の肉眼で行う処置となる
保険診療の根管治療は、肉眼+レントゲンを用いた治療です。つまり、検査・診断の際には二次元的な画像しか参考にできず、根管内への処置も外から見えている範囲で進めて行かなければなりません。
根管は髪の毛ほどの太さしかなく、真っ暗で内部が見通せない器官であることから、肉眼+レントゲンでのアプローチでは、満足に治療を行えない場合もあるのです。
歯科医師は自ずと過去の経験や知識、勘に頼った方法で根管の拡大、形成、清掃を行っていくため、汚れの取り残しが起こる可能性があります。
■マイクロスコープ+CTで根管治療の成功率が上がる理由
根管治療に歯科用CTとマイクロスコープを活用すると、以下に挙げる理由から成功率が高まります。
◎CTは根管を任意の方向から立体的に観察できる
歯の神経まで達したむし歯は、画像診断が重要となります。なぜなら根管の数や形は二次元的な画像しか得られないレントゲンでは正確に読み取れないからです。
例えば、歯の生え方やレントゲン撮影する位置によっては、2本の根管が重なることで、1本しかないと誤認するおそれがあります。その結果、未処置の根管が生じて根管治療が終わらない、あるいは終わったと勘違いして、感染源を取り残してしまいます。
この点は3次元的な画像を撮影でき、任意の方向から根管を観察できるCTスキャンの出番。根管治療を行う前に、歯科用CTによる精密診断を行えば、根管の数や形態をしっかりと把握できます。
◎マイクロスコープは根管を“見える化”できる
CTによる画像診断で根管の数や形態を正確に把握しても、肉眼での処置だけでは厳しいケースも。そこで重要となるのがマイクロスコープです。
マイクロスコープにはライトが附属しており、根管内を明るい光で照らすことができます。同時に、術者の視野を肉眼の数十倍程度まで拡大できるため、本来は視認できない根管の内部を“見える化”できます。
その結果、根管内部を視認しながら拡大や形成・清掃ができ、病変を取り残すリスクや、先端の方でカーブした根管を誤って穴を開けてしまうリスクも軽減できるでしょう。
■根管治療の再発リスクを抑えるための+α
根管治療の再発リスクは、マイクロスコープとCTに加えて、ラバーダムやニッケルチタンファイル、高周波通電装置などを組み合わせることでさらに抑えることが期待できます。
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ラバーダム:
患部のみを露出した状態で根管治療を行えるように他の歯をゴムで覆う処置で、無菌的な環境を確立できます。
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ニッケルチタンファイル:
複雑な根管形態に対応できる柔軟性の高い器具で、根管の壁を傷つけたり、穴を開けたりするトラブルを防ぎやすくなります。
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高周波通電装置:
根管内の感染組織を電気による熱で焼灼する機器です。
新宿区にある当院、しんみ歯科高田馬場の精密根管治療では、これらすべての機材を使用することが可能です。
■まとめ
今回は、根管治療が再発しやすい理由や成功率を高めるマイクロスコープ+CTの特徴について解説しました。
従来の根管治療は、見にくい根管内を肉眼で処置せざるをえなかったため、成功率が低くとどまっていましたが、根管を正確に把握できるマイクロスコープやCTを活用すれば、病変を取り残すリスクを減らすことができます。
そうすることで根管治療の成功率を高めることができます。根管治療はご自身の歯を残す大切な選択肢です。
何度も根管治療を繰り返しているなど、ご不安な点がある方は、お気軽にご相談ください。