
皆さん、こんにちは。新宿区のしんみ歯科高田馬場です。
むし歯治療や根管治療のあと、奥歯に被せ物(クラウン)を装着する際に「どの素材がよいのか」と迷われる患者様は少なくありません。
近年、奥歯の被せ物として人気が高まっているのが「ジルコニア」です。天然歯に近い見た目を持ちながら、金属に匹敵する強度を備えているのが大きな特徴です。
今回は、ジルコニアが奥歯に選ばれる理由や、そのメリットを詳しく解説します。
目次
■ジルコニアが奥歯の被せ物に選ばれるのはなぜ?
◎ジルコニアとはどんな素材?
ジルコニアとは、「人工ダイヤモンド」とも呼ばれるセラミックの一種で、正式名称を「二酸化ジルコニウム」といいます。
耐熱性・耐久性に優れ、歯科だけでなく人工関節や宇宙産業などにも利用されている安全性の高い素材です。通常のセラミックよりも強度が高く、噛む力が強くかかる奥歯にも安心して使えるのが大きな魅力です。
◎金属に匹敵する強度と耐久性
奥歯は咀嚼時に大きな力が加わる部位で、1回の噛みしめで体重の数倍の力がかかることもあります。ジルコニアはこうした強い力にも耐えられるような高い強度を持ち、破折(割れること)や摩耗に非常に強いのが特徴です。
また、長期間使用しても変色や腐食や劣化しにくいため、メンテナンス次第では10年以上の使用も期待できます。
◎金属アレルギーの心配がない
従来の奥歯の被せ物には、保険診療で使われる金属(銀歯)が多く使われてきました。しかし、金属は経年劣化によってイオンが溶け出し、金属アレルギーや歯ぐきの黒ずみの原因になることがあります。
一方、ジルコニアは金属を一切含まないセラミック素材のため、アレルギーの心配がありません。体にやさしく、安心して使用できる点も多くの患者様に選ばれる理由です。
◎自然な見た目で審美性も高い
ジルコニアは白く透き通るような素材で、見た目の美しさも大きな魅力です。特に、前歯ほどの透明感は求められない奥歯では「強度」と「自然な白さ」のバランスが非常に良い素材です。審美性を重視しながらも、機能性を損なわない素材です。
◎すり減りにくく、長期的に安定
ジルコニアは摩耗に強く、長年使用しても形状の変化が少ないことも特徴です。歯ぎしりや食いしばりのある方にも使用が検討されることが多く、他の歯や噛み合わせへの影響を抑えることができます。
ただし、ジルコニアの硬さゆえに、噛み合わせの調整を丁寧に行うことが重要です。当院では、一人ひとりの顎の動きや歯並びを確認し、適切な厚み・形態に仕上げるよう心がけています。
◎むし歯の再発リスクを抑えられる
ジルコニアは表面が非常に滑らかで、プラーク(歯垢)が付着しにくい性質を持っています。そのため、歯みがきで汚れを落としやすく、むし歯や歯周病の再発リスクを下げることができます。
特に奥歯は磨き残しが多くなりやすい部位ですが、ジルコニアの滑らかな表面は清掃性が高く、メインテナンスがしやすいのも大きな利点です。
◎自費診療だからこそ実現できる精密な仕上がり
ジルコニアの被せ物は保険適用外の自費診療となりますが、その分、使用する素材や仕上げ精度にこだわることができます。
歯科技工士が患者様ごとに色味や形をカスタム設計し、一人ひとりに合った被せ物を作製します。結果として、長持ちしやすく、快適に噛める仕上がりが得られるのです。
初期費用は高く感じられるかもしれませんが、再治療のリスクを減らし、長い目で見るとコストパフォーマンスにも優れています。
■ジルコニアのデメリットも知っておきましょう
現状、完璧な素材は存在しません。ジルコニアにも注意点があります。
まず、非常に硬いため、まれに噛み合わる歯をすり減らす可能性があります。また、透明感の高い前歯にはやや不向きな場合もあります。
■まとめ
奥歯は咀嚼に大きな力が加わるため、被せ物には「強度」「耐久性」「適合性」などが求められます。
ジルコニアは自然な見た目と高い機能性をもつ素材です。さらに、金属アレルギーの心配がなく、むし歯の再発リスクを抑えられる点も魅力です。長く快適に噛める歯を保つために、素材選びに迷った際は、ジルコニアクラウンも選択肢のひとつとしてご検討ください。
